土地の伝統産業として発展してきた

2011.12.31

明礬温泉の湯の花のように、温泉地の土産品のなかにはその土地の伝統産業として発展してきたものがある。土産は「宮笥」すなわち遠方の神社に詣でて授かる器や御札をいい、帰宅後人びとに配って御利益のお裾分けをするという意味合いがあったという。それが、神社で授かったものにかぎらず、旅行者がその土地で生産された物を買って持ち帰るようになり、これもみやげ(土産)とよばれるようになった。土産とはその文字が示すごとく
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蒸気機関車の引く機関車けん引列車

2011.12.31

今、主力の電車列車や気動車(ディーゼルカー)列車ならば、B駅で運転士と車掌が乗務位置を入れ代わるぐらいのものだから、たいした造作でもない。しかし、これが客車や貨車を機関車が引っぱる、昔ながらの機関車けん引列車では、その機関車を前後付け替えなければならず、なかなかやっかいなこととなる。蒸気機関車にいたっては、向きを変えるターンテーブルまで必要だ。自分では動いてくれない貨物を積んだ貨物列車であれば、か
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ダム建設の危機に瀕するアッシリア帝国最初の首都

2011.12.31

メソポタミアの北部、チグリス川中流域に位置するアッシュール(現在のカラットーシェルカット)には、紀元前二八世紀にすでにアッシリア人が居住していた。前一四〜前九世紀には、この地はアッシリア帝国の最初の首都として繁栄した。アッシリアの最高神アッシュールと同名のこの町は、宗教的な中心地でもあった。アッシリア帝国の政権がニムルドに遷ってからも、アッシュールは宗教と文化の中心地として繁栄を失わなかった。これ
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申請、審査、登録が望まれることはいうまでもない

2011.12.25

アイスランドの「シングヴェトリル国立公園」も、複合遺産ではなく、文化遺産としての登録であるし、ロシアとリトアニアにまたがる「クルシュー砂州」も、一〇〇キロにも及ぶ細長い砂州という自然現象が特徴のはずだが、登録要件はここで暮らす人々の文化や生活に焦点が当てられており、文化遺産としての登録となっている。暫定リストを見ても、文化遺産のほうが多いのは間違いなく、今後も、文化遺産が主、自然遺産が従の傾向は変
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世界遺産登録の例外について

2011.12.25

二〇〇四年に登録された、地震で壊滅的な打撃を受けたイランの「バムとその文化的景観」のように、緊急措置が必要な場合は、特例として、「暫定リスト」への記載を飛び越えて、世界遺産委員会で登録を決定する場合もある。その登録の基準は、文化遺産なら、「人間の創造的才能を表す傑作であること」「人類の歴史の重要な段階を物語る建築様式、あるいは建築的または技術的な集合体、あるいは景観に関する優れた見本であること」な
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「世界遺産」が伝えるものとは

2011.12.25

限られた時間の中で見聞きしてきた遺産、そしてこれから訪れたいと願うまだ見ぬ遺産は、私に、人類が営々と築き上げた暮らしや文化、時には残虐な戦いの歴史を語り、また一方で、地球の奇跡のような美しさにあらためて目を見張らせてくれる。とともに、いくつかの遺産を訪れているうちに気づく、文化の多様性と、逆に離れた地域の驚くほどの類似性などに、あらためて世界の不思議さを感じてきた。また、ここが世界遺産に登録されて
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食事に関しては、安心感がある

2011.12.25

乗って気分がいいのは、時間にあまり制限されない、自由さである。これは高級船でしか得ることができないところだ。メガシップほど乗客が多く、一度に多くの食事を配膳しなければならず、なかなか好きなときに行ってフルコースというわけにはいかない。「QE2」のように、6時から9時までいつ来ても、フルコースをスタートしてくれるという船もある。ディナーの時間の自由なほど快適な船とも言えるだろう。どんな船でも毎晩ディ
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私鉄ビジネスモデルの誕生

2011.12.24

大学生の頃だったが、関西の私鉄に乗るだけのために旅行したことがある。ひそかに憧れを抱いていた阪急の梅田駅から神戸線の電車に乗った。話には聞いていたが、神戸線・宝塚線・京都線それぞれ三線ずつ、天井の高いヨーロッパ的な空間に合計九本もの線路が整然と並ぶ様子は、関東の私鉄には存在しない。三線の特急・急行が同時発車するのは壮観だった。朝ラッシュ時の京王線や小田急線の新宿駅の狭苦しいホームに毎日繰り広げられ
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自然災害の脅威にさらされる世界遺産

2011.12.24

自然災害の脅威はさらに大きく、二〇〇三年暮れのイラン地震で、崩壊の危機に瀕したバム遺跡は、「暫定リスト」への記載といった通常の手続きを飛び越えて、二〇〇四年の世界遺産委員会で緊急に世界遺産に登録されるとともに、あわせて「危機遣産リスト」にも掲載された。それだけ、ユネスコの受けたショックも大きかったのだろう。二〇〇四年暮れのスマトラ冲大地震とインド洋大津波では、スリランカの世界遺産「ゴール旧市街」が
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ケルン大聖堂、周囲の高層ビルで「危機遺産」に

2011.12.24

二〇〇四年の世界遺産委員会で、新たに危機遺産に掲載された三件の遺産のうち、注目を集めたのが、ドイツの「ケルン大聖堂」であった。これは、大聖堂自体が傷つけられたり、崩壊の危機にあるという理由ではない。大聖堂とライン川をはさんだ対岸に五つの高層ビルの建築が予定されており、もし計画通りビルが完成すると、大聖堂の空間的な価値が破壊されてしまうだろうという報告が、世界遺産委員会でなされたのである。この会議で
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お仕着せではない、旅の醍醐味を

2011.12.24

重要な名所を何度も見落としてきてはいるか、それもクルーズの旅行なのだと思う。ちょっと勇気と元気があれば、船内で提供するオプショナルツアーには参加しないで、港に下り立ってから、行き先を考えるということでもいいように思う。日本人の観光はあまりに、できあいに慣れてしまっている。せっかく海外旅行だというのに、お仕着せのツアーだけではつまらないではないか。港をブラブラするほうが、オプショナルツアーで観光地へ
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エジプトの首都カイロ

2011.12.18

登録名は「イスラム都市カイロ」。エジプトの首都カイロは、現在の人口およそ一五〇〇万人、アフリカ大陸随一の都市だ。対岸には、ギザのピラミッド群を望むことができる。古代エジプト文明が滅んだ後、七世紀にこの地に移り住んできたイスラムの人々は、街を「勝利者」を意味する「カイロ」と名づけた。世界遺産に登録されている旧市街地区には、七世紀から二〇世紀に建てられた六〇〇を超す歴史的建造物が残る。街のあちらこちら
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エジプトとタイは重なりあう

2011.12.18

政治や経済という表層の話ではなく、もっと根のところで、エジプトとタイというふたつの国、いや国民性は重なりあうのだ。その日の昼、僕らはホテルに近い1軒の小さな食堂に入った。言葉はほとんど通じなかった。すると店の主人が、僕らを厨房に招き入れた。ここで指差せと笑顔をつくるのだった。店員なのか客なのかわからない青年が、妙に神妙な手つきで、そろそろと、羊肉やピクルスなどが載ったプレートを運んできた。そして、
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欧米を理解するイスラム国家

2011.12.18

ある予感―。それは、アレキサンドリアの空港に着いたときから続いていた。空港を出、そこにたむろするタクシー運転手と値切り交渉を続けながら、その思いは確信に変わっていった。タクシー運転手を仕切るおやじが交渉相手だった。彼との間で値段が決まると、まるで手下のようなドライバーが車に乗る。年代物のプジョーに乗りながら、僕はしきりに呟いていた。似ていた。看板にはアラビア語があふれ、行き交う男や女たちの顔つきも
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自転車でどこまで行けるか

2011.12.17

子供の頃、ようやく玉無し自転車に乗れるようになり、嬉しくて、どんどん遠くへ行ってしまって、迷子になりかけて泣きそうになった経験がある。知らない街に入り込む愉しさと、このまま帰れなくなるのではという怖さが綱引きをする。今はその怖さが無いのがつまらない。歳を重ねる度にときめきが減っていく中で、ひとり旅は唯一、童心に帰ろうと思えば帰れる時間を与えてくれる。ペダルを漕いで、ひたすら西へ向かう。川を三本渡る
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あえて何もせずリラックス

2011.12.17

ティペット代わりに備えられているのは、ラベンダー色の上質のクッションを敷き詰めた水上ハンモック。今やこのリゾートの名物だ。品質に定評あるスパフロダクト「ESPA」を使用したスパや、モダンジャパニーズ料理も含めたダイニング、フィットネスセンターにウォータースポーツアクティビティと、これ以上、望むものはないほどの充実した施設とサービスぶりである。また、もうひとつモルディブに所有するのが、「ワン&オンリ
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哀愁漂う内子の町

2011.12.17

朝早くに行動を開始すると、時間がたっぷりあるのが嬉しい。一直線に松山へ戻らず、内子の町へ寄り道する余裕がある。またナビの目的地変更。来た道を戻る。往路と同じく海沿いは全く通らない。宇和島と松山との、ちょうど中間辺り、内子の町は大勢の観光客で賑わっていた。ナビにセットした駐車場へのルートは観光客で溢れる古い街並みを通過する。車一台通るのがやっと、という細い道。皆迷惑顔で道端に除ける。当然だろう。逆の
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家族旅行の懐かしい思い出

2011.12.11

我が家は家族で仲良かった方だと思います。あまり遠くに行くことはありませんでしたが、家族旅行に行ったのは良き思い出です。家族で車に乗ってでかけ、車の中では歌ったり喋ったり大騒ぎ。行き先はたいてい温泉がある旅館。いつもとは違う食事やお部屋に泊まるだけで何となく浮かれてしまう。浴衣を着るのも新鮮な気分になる要因だった気がします。思えば、あまり高級な旅館などではなかったかと思います。それでも家族で一緒に出
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マウンテン時間からセントラル時間へ

2011.12.11

『エンパイアービルダー号』はモンタナの大平原を横断し、18時20分、モンタナ州最後の停車駅ウルフーポイントに到着した。親子3人がここで下車する。迎えにきたのは祖父母であろうか、列車の傍らで代わる代わる抱き合う姿が微笑ましい。「……ふうーっ、アテンションープリーズー………」久々の、ふうーっ車掌長の車内放送である。いったい、今度はどうしたのであろうか、またディーゼル機関車の調子でも悪いのだろうか、耳を
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コーヒーを抱えてラウンジに戻る

2011.12.11

コーヒーを抱えてラウンジに戻ると、隣席のTシャツご夫妻が話しかけてきた。ミネアポリスに住むハンティングトンご夫妻である。グレーシャー国立公園でのバケーションを終え、わが家に帰る途中なのだそうだ。列車の旅が好きで、いつもアムトラックを利用して旅行していると言う。奥さんが身を乗り出して言う。「来年の春、日本へ行くのよ。トーキョー、ニッコー、キョート、それから……」ご主人が助け船を出す。「ナラ、オーサカ
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宇多津駅で列車を待っている

2011.12.10

宇多津駅で列車を待っていると「瀬戸の花嫁」のメロディーが流れ、列車到着を知らせる。この「瀬戸の花嫁」は宇多津以外の予讃線の駅でも聞かれたが、ゆったりしたテンポは首都圏のあわただしいメロディー・チャイムに比べてのんびりムードだ。瀬戸内海沿岸の駅らしい雰囲気がよく出ている。流線型の車体の「しおかぜ」は、ディーゼル特急主体の四国にあって数少ない電車特急のひとつだ。最高時速は一三〇キロだそうだ。最近のこの
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香港で最高のハーバービューを誇るスイート

2011.12.10

インターコンチネンタルが、同ブランドのアジアのフラッグシップにしようと大改修を行っているのが、「インターコンチネンタル香港」である。4000万USドルの資示を投入した大規模な改装は、ゲストルーム、レストラン、スパなど広範囲にわたって行われ、2006年秋にはすべてが終了する。そして、この改装の頂点となるのが、アジア随一の規模とゴージャスさ、ロケーションを誇る新プレジデンシャル・スイートである。ドアを
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リゾート・アイランドからの問題提起

2011.12.10

常夏の島、トロピカル・アイランド、マックロネシア……さまざまなキャッチ・フレーズで呼ばれる沖縄は、いまリゾート・ラッシュである。沖縄本島のちょうど真ん中あたりの西海岸一帯には、美しい海岸線に面して白亜のホテルが建っている。夏のシーズンともなれば、本土からどっとリゾート客が訪れ、ビーチはヤングたちの花が咲く。もっともリゾート客とはいっても、いまのところは日本的な“二泊四日”型が主流で、欧米なみの長期
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放射能泉とはなにか

2011.12.10

俗にラジウム泉といわれているが、日本の多くの放射能泉の主体はラドン(ラジウムエマナチオン)とトリウム系のトロンである。「水一リットル源泉において中にラドン(Rn)の量一〇〇億分の三〇キュリー以上を含むもの」をいう。放射能というと、原爆症の白血病を起こしたり、奇形児が生まれたり、ガンの原因になると怖れられているが、温泉中に含まれるラドントロンは常温では気体なので、湧出後は空気中に散ってしまうので全く
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野宿するときには虫に注意

2011.12.04

俺も野宿には慣れていました。ただし都市部での野宿ばかりでした。最初のオートバイの旅の装備ですが、特別なものはありません。テントはバックハッカー用のミイラの棺桶のようなごく小さなものを持っていきましたが、当初はそれを使う気はありませんでした。つまり、雨さえ降っていなければ、そのまま地面の上にコロンと寝ればいいと思っていましたから。星をみてそのまま寝ちゃえばいいという発想だったのです。ところが、夏の野
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トイレも洗面所も変わり映えしない

2011.12.04

「なごみ」は、臨時列車なので、最速の列車ではない。時々運転停車をして、定期の特急列車に抜かれたりする。私の乗った列車も、八王子発車以降、順調に走っていたが、大月の手前の鳥沢でホーム脇の待避線に入り、一七分も停車した。もちろんドアは開かない。退屈してきたので、トイレで用を足した後、少々車内を散策してみた。トイレや洗面所は、特に変わったものではない。最近の特急車両などと同じく、車椅子利用も可能な大型の
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原野を走り、快速らしくなる

2011.12.04

上尾幌を出ると、再び林の中を行くが、やがて広々とした原野に差しかかる。駅を通過するが、ホームの脇には、不要になった貨物列車の車掌車を改造してカラフルに塗った小さな駅舎がある。初めての駅通過で、ようやく快速らしい走りっぷりになってきた。まわりは広大な牧草地で、はるか彼方に牧場の建物群がぽつんぽつんと思い出したように建っている。続いて門静を通過すると、右手に広々とした太平洋か現れる。波打ち際すれすれに
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「SLばんえつ物語」も12系客車を使ったSL列車

2011.12.03

同じ12系客車を使ったSL列車には、「SLばんえつ物語」(JR東日本、新潟〜会津若松)があり、こちらも車内はレトロ調に改装されている。大正風をイメージしたとのことで、ワインレッドの座席や茶系に塗り替えられた壁、ガス灯風の照明など古めかしさを演出している。これはこれでクラシカルな雰囲気があって好ましいが、本物の旧式車両ではないので、SL「やまぐち」号の客車同様、映画やドラマのロケで使える代物ではない
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巨大なキリスト像が現れた

2011.12.03

タクシーの運転手に「登山電車の駅までと告げると、彼は首を横に振った。「旦那、登山電車は2時間は待ちでっせ。タクシーなら頂上までだったの20分」というわけだ。リオを訪れる観光客が必ず登る名所中の名所。登山電車が混雑するのは当然である。けれども23時間もかけて日本から来ただけに、2時間待ちなど屁でもない。私は彼の提案をあっさり辞退し登山電車の駅でタクシーを降りた。果たして2時間待ちは本当だった。けれど
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眼を覚ますとアイヌ語の駅名

2011.12.03

カーブを曲がる際に床下からもれ聞こえてくる車輪とレールの擦れる音で眼を覚ました。通路に出て窓外を望めば、凪いだ函館湾の向こうに、函館山の稜線が影絵みたいにおぼろに浮かびあがっている。その麓から左手に向かっては函館の街灯りが天の川のように長く広がり、背景を飾る夜明け前の紫色の空は、どこまでも澄み切っていた。「もへじ(茂辺地)」と記された駅名板が窓を通りすぎていった。アイヌ語の「モーペッ」(静かな川)
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海側に席を移した

2011.12.03

車掌さんのご好意に甘えて海側に席を移し、あらためて桜島を眺めてみる。黒っぽい山腹に深い皺が幾筋も見える。凄味のある山容である。朝から何も食べていないので、鹿児島中央駅で買ったおにぎりをほおばる。気の利いた紀行文ならば、ここで駅弁の「さつま黒ぶためし」あたりが出てきて、その包みをひらき、駅弁評論が始まるのだろうが、私の旅はそうはならない。まだ、先は長いので、とりあえずは倹約を旨とする。稚内にたどり着
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