実は自転車を扱う技術にも同じような面があって、ベテランになるほど、発進や停止の動作は着実にゆっくり、スムースに行なうという側面がある。低速走行でもふらつかず、安定している。それはともかくとしても、「スロー」や「ゆっくり」には、見かけ以上の深遠なものが隠されていると私は思っている。一種の神秘と言っていい。私みたいな凡人の心臓の心拍数は1分間に60回くらいだが、ツール−ド−フランスを繰り返し制するようなサイクリストの心拍数は40回を下回ることもあるようだ。
(参考情報)
大津プリンスホテル - じゃらんnet
http://www.jalan.net/yad373565/
ナゴヤドーム-じゃらんnet
http://www.jalan.net/theme/park/nagoya_dome.html
西鉄福岡(天神)駅のホテル - じゃらんnet
http://www.jalan.net/hotel/400000/STA_019942/
偉大な存在はことをゆっくりと進めるのである。もちろん私がどう努力しても、ツール−ド−フランスの覇者の証、マイヨ−ジョーヌを着る人の心臓を手に入れることはできない。身体は、あるレベル以上は、どうしたって持って生まれたのだから。けれども、魂なら誰にも改善の余地があろう。その昔放り出した曲に、中年になってから取り組むこともできる。私自身も、若いときは、ともかく自分がその曲をいくらか弾けるのだということを人に見せたくてたまらなくて練習していた。中年になった今は、少しは変わった。人に感動してもらうには、演奏の完成度を上げ、より音楽的な表現を自分のものとする以外に方法がないというごくごく当たり前のことを知った。自転車の旅も同じではないだろうか。速度という意味に限らず、人に自慢できる記録や距離や標高にこだわらず、「ゆっくり」と自分のサイクリングの世界を構築すればいい。そのとき人は、熟知していたと思い込んでいた風景の傍らに、まったく別の新しい世界を見ることになる。通勤電車から眺めていた何の変哲もない路地の裏側に、旧き良き時代の痕跡や、あなたに縁のある何かを見つけたりするのだ。それは世界が変わったからではない。あなたが変わったからなのである。